412【薪を抱きて火を救う】 出典・戦国策・魏策
《 意味 》

 罪悪を除こうとして、かえって被害を大きくするたとえ。火を消そうとしても、薪を抱えて消火にあたったのではかえって火を大きくしてしまう、ということ
 
《 訳文 》

 (秦国との戦争に負け、土地を割譲しようとする魏王に向かって孫臣という者が諫めて言った)。「土地を差し出して秦に仕えるのは、たとえば薪を抱えて火を消そうとするようなもので、薪が燃え尽きなければ火事はおさまりません。今、王の土地には限りがありますが、秦国の欲求には限りがありません。まさしく薪を抱えて火を消すということにほかなりません

《 原文 》

 以地事秦、抱薪而救火也。薪不尽、則火不止。今王之有地尽、而秦之求無窮。是薪火之説也

 地を以て秦に事うるは、譬えば猶お薪を抱きて火を救うがごときなり。薪尽きずば、則ち火止まず。いま、王の地は尽くる有りて、而も秦これを求むるに窮まり無し。これ薪火の説なり
《一言多い解説》

 日米安保条約で、最初の譲歩が何よりこの諺を示している