86:【己達せんと欲して人を達しむ】 出典:論語・雍也
《 意味 》

 自分が何事かを達成しようとするならば、まず他人を達成させてやる。いつも自分を他人の立場に置いておくことが大切だ。
 
《 訳文 》

 (孔子が、弟子の子貢の問いに対して答えた一節)。そもそも仁者は、自分が官位につきたいと思うときには人を薦めてつかせ、自分が昇進したいと思うときには他人を昇進させてやる。手近な自分を例にとって他人の気持ちを理解することが、仁に近づく方法である。


《 原文 》

 夫仁者己欲立而立人、己欲達而達人。能近取譬、可謂仁之方也已

 夫れ仁者は己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す。能く近く譬えを取る。仁の方と謂うべきのみ。
《 一言多い解説 》

 お毒見役、お先棒を担がせるなんぞはお断り