81:【鳳飢うるも粟を啄まず】 出典:李白・古風詩・其四十
《 意味 》

 気位の高い人は、飢えてひもじいときでも、粗末なものを口にしたりはしないこと。「鳳」は、想像上のめでたい鳥。「粟」は穀物。俗世間を超越して、孤高の精神を貫くことのたとえ。

 
《 訳文 》

 「鳳凰おおとり)」は飢えても穀物をついばんで食べたりはしない。その食べ物は琅玕ろうかん)の玉(=崑崙山に産すると言われる美しい石)だけである。鶏の群れに混じって、こせこせと食料を取り合うことなどできないのである。

《 原文 》

 鳳飢不啄粟、所食唯琅玕。焉能与群鶏、刺蹙争一飡

 おおとり)飢うるもぞく)ついば)まず。食する所は唯だ琅玕ろうかん)のみ。いずく)んぞ)く群鶏と与に、刺蹙ししょく)して一飡いっさん)を争わん。
《 一言多い解説 》

 フランス国王ルイ16世の王妃、マリー・アントワネットは、民衆が貧困と食料難に陥った際、こう言った。「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」