80:【大いにまど)う者は終身さと)らず】 出典:荘子・天地
《 意味 》

 心に大きな惑いのある者は、惑い自体に気づかず、一生涯真理を理解することができない。

 
《 訳文 》

 自分の愚かさを自覚している者は、救いがたい愚か者ではない。自分の心の惑いを知っている者は、ほんとうに惑える者ではない。真に惑える者は、一生涯自分の惑いに気づかず、救い難い愚者は、死ぬまで明らかに知ることはできない。

《 原文 》

 知其愚者、非大愚也。知其惑者、非大惑也。大惑者、終身不解、大愚者、終身不霊

 その愚を知る者は、大愚にあら)ざるなり。その惑いを知る者は、大惑に非ざるなり。大惑なる者は、終身解らず、大愚なる者は、終身あき)らからず。

《 一言多い解説 》

 自分の愚かさを知る人には解かっても、自分の愚かさを知らない人には理解できないなんて、何たる不平等な言葉であるか