78:【往者おうしゃ)いさ)むべからず】 出典:論語・微子
《 意味 》

 過去はどうにも取り返しがつかないということ。「往」は、過去。「諫」は、忠告。「来者は猶お追うべし」と対句で用いられるとが多い。

 
《 訳文 》

 楚の国で狂人といわれていた接輿せつよ)が歌をうたいながら孔子の宿の門前を通った。その歌は、「鳳凰よ、鳳凰よ、(おまえは聖王の世に現れるはずなのに、こんな乱世に現れるなんて)なんと徳の衰えたことよ。すでに過ぎ去ったことは今さら諫めても仕方がないが、将来のことはまだ追いかけていくこともできる。よしなさい、よしなさい、今の乱世に政治にかかわることは危険なことだよ。」と言うものであった。(孔子は接輿と話をしたかったが、走り去ってしまって話ができなかった。)

《 原文 》

 楚狂接輿、歌而過孔子、曰、鳳兮凰兮、何徳之衰。往者不可諫、来者猶可追。已而已而、今之従政者殆而

 楚の狂接輿、歌いて孔子を過ぐ、曰く、ほう)や、何ぞ徳の衰えたる。往者はいさ)むべからず、来者は)お追うべし。)みなん、已みなん、今のまつりごと)に従う者は殆うし、と。

《 類句 》

 已往いおう)の諫められざるを悟る