75:【塩鉄の利】 出典:塩鉄論・非鞅ひおう)
《 意味 》

 国家が塩と鉄を専売制にして得る利益のこと。漢の武帝のとき、塩と鉄を専売制にして、国民が大いに苦しむ結果となった。そこで専売制の是非が取り沙汰された。その論争の過程を述べた書物に漢代の桓寛かんかん)が著した『塩鉄論』がある。

 
《 訳文 》

 専売制によって塩と鉄がもたらす利益は国民の急場を助け、軍事遠征の費用を充足させ、国家の貯金を増やして不測の事態に備えておくのである。(国民にとっても利益にはなっても決して害を与えるものではありません。)

《 原文 》

 塩鉄之利、所以佐百姓之急、足軍旅之費、務蓄積以備之絶
 塩鉄の利は、百姓ひゃくせい)の急を佐け、軍旅の費を足し、蓄積を務めて以て之絶に備える所以ゆえん)なり。

《 解説 》

 もっともな理屈であるが、国民の感じる重税感の不満が強ければ、反乱・革命が勃発する。国家の舵取りの永遠のテーマである。