65:【益者三楽損者三楽えきしゃさんごうそんじゃさんごう)】 出典:論語・季氏
《 意味 》

 人の楽しみには、身の利益になるものと有害になるものとそれぞれ三種類ある。「楽」は、唐の陸徳明の『経典釈文』で「ごう」と読んで以来「ごう」と読みならされている。意味については、一般に、「ごう」は、好む・願うの意。「らく」は、喜び楽しむの意とされるが、共に通ずるものである。
 
《 訳文 》

 孔子が言われた。「有益な楽しみが三種類、有害な楽しみが三種類ある。礼儀と雅楽を折り目正しく行うのを楽しみ、人の立派さを口にするのを楽しみ、すぐれた友達の多いのを楽しむのは、有益である。おごりたかぶって欲望をほしいままにするのを楽しみ、気ままに怠け遊ぶことを楽しみ、酒盛りを楽しむのは、有害である。

《 原文 》

 孔子曰、益者三楽、損者三楽。楽節礼楽、楽道人之善、楽多賢友、益矣。楽驕楽、楽佚遊、楽宴楽、損矣

 孔子曰く、益者三楽、損者三楽。礼楽を節するを楽しみ、人の善を)うを楽しみ、賢友多きを楽しむは、益なり。驕楽きょうらく)を楽しみ、佚遊いつゆう)を楽しみ、宴楽を楽しむは、損なり。

◎ 解説

 同じ「季氏」編の、「益者三友、損者三友」という句の、有益な友人とは、正直な人、誠実な人、博学な人の三種であり、有害な友人とは、体裁ばかりを飾る人、うわべだけのへつらい者、口だけ達者な人の三種。