62:【郢客えいかく)陽春を唱う】 出典:宋玉対楚王問
《 意味 》

 高尚なものは大衆に理解されないことのたとえ。「陽春」は、高尚な音楽の曲名。
 
《 訳文 》

 楚の国の都郢で、他国の人が歌っていた。始めに卑俗な曲、「下里かり)「」「巴人はじん)」を歌うと、都中で彼について唱和するものは数千人いた。 ・・・曲が高雅な曲、「陽春」「白雪はくせつ)」を歌うと、都中で彼について唱和するものは数十人に過ぎなかった。 ・・・曲が高尚に成ればなるほど唱和する者はますます少なくなる。

《 原文 》
 客有歌於郢中者。其始曰下里巴人。国中属而和者数千人。 ・・・其為陽春白雪、国中属而和者不過数十人。是其曲弥高、其和弥寡

 かく)に郢中に唄う者有り。その始め下里・巴人と曰う。国中したが)いて和する者は数千人。 ・・・その陽春・白雪を為すや、国中属いて和する者は数十人に過ぎず。 ・・・是れその曲、いよいよ)高ければ、その和するは弥すくな)し。

◎ 一言多い解説

 鶯の鳴き声と酔っぱらいのろれつの回らない歌とどちらが高尚な歌か?