57:【海山と水を争えば海必ずこれを)】 出典:慎子
《 意味 》

 勝負が見えていることのたとえ。必ず勝つことが決まっていることのたとえ。出典は、「慎子」佚文いつぶん)としてみえる
 
《 訳文 》

 聡明でなければ王者の資格はないし、時には盲となり、聾とならなければ君主にはなれない。海と山が水の争奪戦をやれば、海が勝つに決まっている。(と諺にある)
 
《 原文 》

 不聡不明、不能王。不瞽不聾、不能為公。海与山争水、海必得之
 不聡不明なれば、王たる能わず。不瞽不聾ふこふろう)なれば、公為る能わず。海、山と水を争えば、海必ずこれを得
◎ 一言多い解説

 賢者が君主に対し、君主の心がけについて進言している言葉だと思われるが、「不聡不明であってはならない」、「時には盲となり、聾とならなければならない」と言いかつ海と山が水を争うたとえを畳みかけたのでは、聴く側は疲れてしまう。