56:【器と名とは以て人に仮すべからず】 出典:春秋左氏伝・成公二年 |
《 意味 》
君子からの恩賞を表す器と身分を表す名とは国君が掌握すべき事柄で、その権利をみだりに人に貸し与えてはならない。「器」は、車と衣服の意で、むかし天子が功臣に賜る品に用いられた。「名」は官爵の名。
|
《 訳文 》
(孔子が言った。「国君の代理の者が功績のあった者に恩賞を与える際には、)たとえ多くの邑邑を与えるにしても、器と名だけは与えてはならない。これは君主がつかさどるべきものであるからだ。」
|
《 原文 》
不如多与之邑。唯器与名、不可以仮人。君之所司也
多くこれに邑を与えるに如かず。唯だ器と名とは、以て人に仮すべからず。君の司る所なり
|
◎ 一言多い解説
臣下に官位など与えるのは、身分を与えることだから、一部の臣下にその権利を持たすと、お互いの間に感情的争いが起こることになる。器も同じで、臣下を仕分けることになって、やはり同様である。従って、天子自らの専権で慎重に与えなければならない。
|
|