55:【訟え無きを以て貴しと為す】 出典:論語・顔淵がんえん)
《 意味 》

 人々が道議を守り、天下が無事に治まって訴訟の起こらないことが大切である。訴訟の裁断をうまくやるより、訴訟そのものが起こらないように治めていくのが政治の理想だ、ということ。「子曰く、訴えを聴くは、吾猶お人のごときなり。必ずや訟え無からしめん」とある本文の注
 
《 訳文 》

 聖人は訴訟を聴くことを拒みはしないが、人民から訴訟が出ないようにさせるのをたっと)んだ。
 
《 原文 》

 聖人不以聴訟為難、而以使民無訴為貴
 聖人は訟えを聴くを以て難しと為さざるも、民をして訟え無からしむるを以て貴しと為す

◎ 一言多い解説

 文明が進み、人の世に私権が多く許されるにしたがって、孔子の教えでは、世の中、治まらなくなった。