53:【内に怨女えんじょ)なく外に曠夫こうふ)なし】 出典:孟子・梁恵王・下
《 意味 》

 夫婦が共に居て独身を嘆く者もなく、平安であること。「怨女」は、未婚の、または夫が外征に出ていて家に寂しくいる女。「曠夫は、独身の男。
 
《 訳文 》

 (宣王が、自分には女色を好むという悪癖があるから善政は無理だと言ったのに対し、孟子が言った。「昔の大王もやはり色を好んでその王妃を愛されたことが「詩経」にもみえます。それによれば、大王は命がけで妃を愛し離さなかったということです。ですから、)当時人民はこれに感化されて、家には婚期を逸して夫の無いことを恨む女もなければ、外にはいつまでも独身で不平を言う男もありませんでした。(今、王様が色を好むにしても、人民と共に夫婦相愛するようになされば、天下の王者となるのに何の差支えとなりましょう」)
 
《 原文 》

 当是時也、内無怨女、外無曠夫
 この時に当たりては、内に怨女無く、外に曠夫無し

◎ 一言多い解説

 宣王の嘆きに孟子の言ったアドバイスは、理論的でない。女色を好むという意味合いを間違えているのか、或いは昔の大王が妃を心底愛したことに人民は感化したのか、女色を好んだことに感化されたのかはっきりしない。更にその結果、内無怨女、外無曠夫だった、とこじつけて説明するのはおかしい