42:【衣帛を重ねず】 出典:尹文子・大道・上
《 意味 》

 質素なこと。「はく)帛」は絹の着物。絹の着物を二枚重ねて着ないという意味。

 
《 訳文 》

 昔、晋の国はぜいたくな風習によって、生活が苦しくなった。文公は身をもって倹約し、矯正しようとした。そこで、絹の着物を二枚重ねて着ないようにし、一度の食事に二種類の肉料理を食べなかった。間もなく、人々は目のあらい粗末な衣服を身につけ、もみを取り除いただけの玄米の飯を食べるようになった。

 
《 原文 》

 昔、晋国苦奢。文公以倹矯之。乃衣不重帛、食不異肉。無幾時、人皆大布之衣、脱粟之飯
 昔、晋国、しゃ)に苦しむ。文公、倹を以ってこれを)む。すなわ)ち衣は帛
を重ねず、食は肉を異にせず。幾時いくばく)も無くして、人皆大布の衣、脱粟だつぞく)の飯となる

◎ 一言多い解説

 平和な時代は庶民はいつも奢に走る。時の権力者は決まってこれを取り締まる。人の欲望は生きていく証の様だ