39:【一夫関に当たれば万夫も開くなし】 出典:李白詩・蜀道難
《 意味 》

 非情に険しい山道。守るのは易く、攻めにくい要害堅固な地形をいう。「関」は関所。

 
《 訳文 》

 (蜀の)剣閣山は高くそそり立ち、しかも峻嶮 しゅんけん)で岩や石が折り重なっている。もし、一人の兵がこの山道の関所を守るならば、万人の兵が攻めたとしてもそこを突破することはできない。

 
《 原文 》

 剣閣崢嶸而崔嵬 一夫当関万夫莫開

 剣閣崢嶸けんかくそうこう)として崔嵬さいかい) 一夫関に当たれば万夫も開く)

◎ 一言多い解説

 「箱根八里」と言う歌の歌詞には、天下の嶮は、「函谷關」が引き合いに出さけている。しかし、ウィキペディアの解説によると、作詞者は、敢えて中国の色々な難所が束になって掛ってきても、箱根の険しさに比べたら大したことは無い、みたいな誇張をしていて面白い。

箱根の山は、天下の嶮(けん)
函谷關(かんこくかん)も ものならず
萬丈(ばんじょう)の山、千仞(せんじん)の谷
前に聳(そび)え、後方(しりへ)にささふ
雲は山を巡り、霧は谷を閉ざす
昼猶闇(ひるなほくら)き杉の並木
羊腸(ようちょう)の小徑(しょうけい)は苔(こけ)滑らか
一夫關に当たるや、萬夫も開くなし
天下に旅する剛氣の武士(もののふ)
大刀腰に足駄がけ
八里の岩根(いはね)踏みならす、
かくこそありしか、往時の武士