384【糟糠の妻】 出典・後漢書・宋弘伝
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《 意味 》
貧苦を共にした妻のこと。「糟糠」は、酒のかすと米のぬか。転じて粗末な食物。貧乏で共に粗末なものを食べて苦労を分け合ってきた妻をいう
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《 訳文 》
(後漢の洪武帝は、姉の湖陽公主が夫に先だたれ、宋弘の立派な人柄にひかれているのを知り、公主を屏風の陰にひそませたうえで)宋公に言った。「『身分が高くなれば人とのつきあいも変わり、富裕になると妻を代える。』という諺があるが、それこそ人情だと思うがどうか」。宋公は答えた。「わたくしは、『貧しくいやしいときの交友は忘れてはいけない、貧乏なときから苦労を共にしてきた妻は表座敷からおろしてはいけない』と聞いています」。(そこで帝は屏風の陰の公主に望みはかなわなかったと告げた)
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《 原文 》
謂弘曰、諺言、貴易交、富易妻、人情乎。弘曰、臣聞、貧賤之知不可亡、糟糠之妻不下堂
弘に謂いて曰く、諺に言う、貴とならば交を易え、富とならば妻を易う、人情ならんか、と。弘曰く、臣聞く、貧賤の知は忘るべからず、糟糠の妻は堂より下さず、と
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《一言多い解説》
皇帝といえども、姉の再婚の斡旋は失敗に終わった
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