349【寸草春暉すんそうしゅんき)】 出典・孟郊もうこう)詩・遊子吟
《 意味 》

 父母の大きな恩・愛情に対して、少しも報いることができないというたとえ。「寸草」は、長さ一寸ばかりの若草。子供の、親に報いようとする気持ちにたとえる。「春暉」は、春の温かい陽光。親の、子に対する愛情の比喩。

 
《 訳文 》

 母親が手にする糸は、旅立つ子供の着物を縫うためのもの。出発に際して、殊更に丁寧に縫うのは、我が子の旅の帰りが遅くなるのをおもんばかってのこと。だれが言おうか、一寸ばかりの草のような小さな孝行心で、三春(春三か月。孟春・仲春・季春)輝く、暖かい陽光のような父母の恩に報いることができる、などと


 
《 原文 》

 慈母手中線、遊子身上衣。臨行密密縫、意恐遅遅帰。誰言寸草心、報得三春暉

 慈母手中のいと)、遊子身上の衣。行くに臨んで密密と縫うは、こころ)に恐る遅遅として帰るを。誰か言わん寸草の心、三春のひかり)に報い得んと

《一言多い解説》

 ♪ 母さんが夜なべして手袋編んでくれた、と唄えるようになるにはもう少し時間がかかる

 

   

   
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