321【将門必ず将有り相門しょうもん)必ず相有り】 出典・史記・孟嘗君もうしょうくん)
《 意味 》

 将軍の家柄には必ず将軍が出るし、大臣・宰相の家柄には必ず大臣・宰相が出る。すぐれた家柄からは、それにふさわしい人材が出るということ。
 
《 訳文 》

 田文(孟嘗君)の母は、文が生まれたときに夫田嬰でんえい)から、その子を育ててはならぬと言われたが、隠して育てた。文は成長して、その父、嬰に会った)。文は父に言った。「父上は政治に携わり、斉の宰相となって、今までに三人の王に仕えましたが、斉の領土は広がっていないのに、父上の家は富み、万金を積んでおります。しかし、門下には一人の賢者すら出していません。わたしは将軍の家柄には必ず将軍が出るし、大臣・宰相の家柄には必ず大臣・宰相が出ると聞いております」。(果たして文は父が死ぬとそのあとを継いだ)

 
《 原文 》

 文曰、君用事相斉、至今三王矣。斉不加広而君私家富累万金、門下不見一賢者。文聞、将門必有将、相門必有相

 文曰く、君、事を用いて斉にしょう)たること、今に至りて三王なり。斉、広きを加えずして、君の私家、富万金をかさ)ぬるも、門下に一賢者をも見ず。文聞く、将門必ず将有り、相門必ず相あり、と。

《一言多い解説》

 父に向って自己主張することも大切なこと

 

   

   
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