316【城狐社鼠じょうこしゃそ)】 出典・晋書・謝鯤しゃこん)
《 意味 》

 君主のそばに仕えて、君主の権勢を頼みとして悪事をはたらく家臣。身を安全な所に置いて悪事をはたらく者にたとえる。また、悪党としてもたかが知れたもの。小悪党。「城狐」は、城壁で囲まれた町に住む狐。「社鼠」は、社にすみついている鼠の意。

 
《 訳文 》

 左将軍の王敦おうとん)は上位の者を除こうとして謝鯤に相談した。「劉隗りゅうかい)は悪党だ。このままにしていたら国の基礎が危うくなる。わたしは主君の身の回りに巣くう悪事を取り除いて、主君をいさめ時世を救いたいと思うが、どうだろうか」。それを聞いて謝鯤が、「隗は、おっしゃるとおり問題のもとだが、しかしせいぜいのところ城に住みつき、社に居ついた鼠のようなもので、小悪党にすぎない」と答えると、王敦は怒って、「このぼんくらめ、何もわかていないじゃないか」といった
 
《 原文 》

 及敦将為逆、謂鯤曰、劉隗姦邪、将危社稷。吾欲徐君側之悪、匡主済時、何如。対曰、隗誠始禍。然城狐社鼠也。敦怒曰、君庸才、豈達大理

 敦将に逆を為さんとするに及び、鯤に)いて曰く。劉隗は姦邪なり、まさ)社稷しゃしょく)を危くせんとす。吾君側の悪を徐き、主をただ)し時を救わんと欲するが、何如、と。対えて曰く、隗まこと)わざわい)を始む。然れども城狐社鼠なり、と。敦怒りて曰く、君庸才ようさい)なり、)に大理に達せん、と

《解説》

 謝鯤伝に引用された王敦こそが城狐社鼠だと言っている
 

   

   
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