306【しゅう))て夜行くが如し】 出典・史記・項羽本紀
《 意味 》

 富や名声を得ても故郷に帰らなければ意味がないということ。美しい刺繡を施した着物を着て夜道を歩く、ということ。この語に基づき『三国志』魏書・張既伝には「錦を衣て昼行く」の語があり、立身出世して故郷に帰ることをいう

 
《 訳文 》

 (項羽が秦を破り、故郷の楚の国へ帰ろうと思っていたとき、関中にとどまって都を定めるように勧めた者がいた。項羽は言った)。「富や名声を得ても故郷に帰らないのでは、美しい着物を着て夜道を歩くようなもので、だれもわたしが得た富や名声に気がつかない」
 
《 原文 》

 富貴不帰故郷、如衣夜行、誰知之者

 富貴なるも故郷に帰らざるは繍を衣て夜行くが如し、誰かこれを知る者ぞ

《一言多い解説》

 どうなんだろう、こういう故郷に錦を飾る心情が貴いかどうかは