302【弱肉強食】 出典・韓愈かんゆ)・送浮屠文暢師序
《 意味 》

 強いものが勝ち栄えること。強大なものが弱小なものを虐げ、犠牲にすること。弱者は強者に食われてしまう
 
《 訳文 》

 (人間と禽獣きんじゅう)が異なる点は、道徳と教えの有無にある。人間は仁義を道とし、礼落刑政を教えとしてきたため、平安な生活を送ることができた)。鳥は一瞬一瞬あたりを警戒しながら暮らし、獣は奥深いところにいて外に出る時を選び、害が自分に及ばないように常に自分の身を安全に保とうとする。しかし被害にあうのは弱者の肉を強者が食物としているからである

 
《 原文 》

 夫鳥俛而啄、仰而四顧。夫獣深居而簡出、懼物之為己害也。猶且不脱焉、弱之肉強之食

 )れ鳥は)してついば)み、仰いで四顧しこ)す。夫れ獣は深居して簡出かんしゅつ)し、物の己に害を為すをおそ)るるなり。))つ脱せず、弱の肉、強の食なり

《一言多い解説》

 現代の日本における「集団的自衛権」は、やがて「敵基地攻撃能力」にすり替わっている。つまり、弱者が強者に変貌した