288【死せる孔明生ける仲達を走らす】 出典・三国志・蜀書・諸葛亮しょかつりょう)伝・注
《 意味 》

 三国時代、蜀の諸葛孔明は五丈原の陣中で没したが、部下の姜維きょうい)は孔明の死を秘して、陣を引き払った。そのとき、魏の将、司馬懿しばい)(字は仲達)が蜀軍の退去を聞いて追撃したが、蜀軍が応戦するように見せかけたので、懿は孔明をおそれて退却した、という故事に基づく。原典では、「死せる諸葛生ける仲達を走らす」となっている。「走」は、逃げる、退却する。

 
《 訳文 》

 宣王(司馬懿)が退却したことについて、民衆は、「死んでいる諸葛孔明のために生きている司馬懿は逃げ出した」という諺を作った。

《 原文 》

 宣王之退也百姓為之諺曰、死諸葛走生仲達

 宣王の退けるや、百姓ひゃくせい)、これが為に諺して曰く、死せる諸葛生ける仲達を走らす

 
《一言多い解説》

 間者(スパイ)も使わない戦いは負ける