281【鹿を指して馬となす】 出典・史記・秦始皇本記
《 意味 》

 威圧を加えて無理を通すこと。また、だまして人を陥れること。日本語の「馬鹿」はサンスクリットの「baka」あるいは「moha」の音写で、無知・迷いの意に基づくと言われる。
 
《 訳文 》

 (宰相となった)趙高ちょうこう)は謀反を起こそうと考えいたが、群臣が自分の命令に従わないのではないかと疑い、まず、一計を案じ、試してみることにした。鹿をつれてきて二世皇帝に献上し、(趙高が)「馬でございます」と言うと、二世皇帝は笑って、「宰相はまちがっているのではないか。鹿を指して馬などというとは」といい、左右の群臣に問うた。群臣は、ある者は黙り込み、ある者は馬でございますと言って趙高にごまをすった。中には正直に、鹿だと言った者がいたが、趙高は後でひそかにこれらの者を法律によって罰した。以後、群臣は皆趙高を恐れた。

《 原文 》

 趙高欲為乱、恐群臣不聴、乃先設験、持鹿於二世曰、馬也。二世笑曰、丞相誤邪、謂鹿為馬。問左右。左右或黙、或言馬以阿順趙高。或言鹿者、高因陰中諸言鹿者以法。後群臣皆畏高

 趙高乱を為さんと欲し、群臣のしたが)わざるを恐れ、すなわ)ち先ず験を設け、鹿を持して二世に献じて曰く、馬なり、と。二世笑いて曰く、丞相誤れるか、鹿を)いて馬と為す、と。左右に問う。左右或は黙し、或は馬と言いて以て趙高におもね)り従う。或は鹿という者あり、高)りてひそ)かにもろもろ)の鹿という者に)つるに法を以てす。後、群臣皆高を畏る

 
《一言多い解説》

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