279【歯牙に)くるに足らず】 出典・史記・劉敬叔孫通りゅうけいしょくそんとう)列伝(叔孫通)
《 意味 》

 とるに足らぬたとえ。議論の対象にならないということ。「歯牙」は、言論の意。「挂くる」は、取り上げるの意。また「歯牙に置く」ともいう
 
《 訳文 》

 (秦の二世皇帝の治世に、陳勝が山東の地で反乱を起こし、学者や大臣らが朝廷に召集され、その処置について討議した。皆武力で反乱を平定すべきだと主張すると、叔孫通は二世皇帝に言った。「今や天下は統一され武力を用いずとも、厳然とした法令が)かれております)。陳勝などはただの群盗で鼠や犬のような、こそ泥にすぎず、問題として取り上げるに足りません。(山東の郡守が捕らえて、彼を罰することでしょう。陛下が心配になることではありません)

《 原文 》

 此特群盗鼠窃狗盗耳。何足置之歯牙間

 これ)鼠窃狗盗そせつくとう)群盗のみ。何ぞこれを歯牙の間に置くに足らん

 
《一言多い解説》

 天子たる者はいたずらに動揺してはいけません。(かといって、祭りごとをおろそかにして、女のお尻ばかり追いかけては猶いけません)