273【三十六計逃ぐるに如かず】 出典・南斉書・王敬則伝
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《 意味 》
あれこれ策を立てるよりも逃げて身の安全を全うしたほうが上策である。また、めんどうなことが起こったときは、そのことを避けるにこしたことはない、の意として用いられる。「三十六計」は「三十六策」と同じで、三十六の策略の意。
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《 訳文 》
(南朝斉の元勲王敬則は、高帝、武帝と仕えたあと、明帝の時になると疎んじられ、反乱を起こした)。東昏侯(斉の廃帝、明帝の子)が東宮で、逃げようと相談して、人を屋根に登らせてようすを見させると征虜亭に火の手の上がっているのが見えた。すなわち王敬則がやってきたと、大慌てで逃げようとした。そのありさまを王敬則に伝えた者がいた。敬則は「檀」公」(檀道済)の兵法では、逃げるのを上策とする。お前たち親子は大急ぎで逃げればいいさ」と言った
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《 原文 》
東昏侯在東宮、議欲叛、使人上屋望、見征虜停失火、謂敬則至、急装欲走。有告敬則者。敬則曰、檀公三十六策、走是上計。汝父子唯応急走耳
東昏侯東宮に在り、議して叛げんと欲し、人をして屋に上り望ましむるに、征虜亭の失火せるを見る。敬則至れりと謂いて、急装して走げんと欲す。敬則に告ぐる者有り。敬則曰く、檀公三十六策、走ぐるをこれ上計とす。汝が父子唯応に急ぎ走ぐるべきのみ、と。
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《一言多い解説》
東昏侯父子はやっぱ愚弟だったということか。敵とする王敬則がすぐ傍に居るのに、(多分征虜亭の火災は厨房からの出火だったのを)勘違いして、慌てていたのだろう
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