261【細君】 出典・漢書・東方朔伝とうほうさくでん)
《 意味 》

 自分の妻。他人の妻、この場合は主に同輩以下に使う。「細君」と書くのは当て字。漢の東方朔が、自分の妻を「細君」と呼んだのに始まる。これは朔の妻の名であるという説。また、一説に「細」は「小」の意で、「小君」とは、諸侯の妻の呼称であり、朔は自分を諸侯になぞらえるために、ことさらに妻を「細君」と称したという。他人の妻を「細君」と使用するのは、宋の『王直方詩話おうちょくほうしわ)』に見えている
 
《 訳文 》

 (機知に富む言説で名高い漢の東方朔は、武帝から肉を賜ったが、みことのり)が下らないうちに、自分で肉を切って持ち帰ってしまった。翌日、それを叱責した武帝に対して、朔は冠を取り、再拝して申し述べた)「肉を賜り、詔を待たぬとは、なんと無礼でありましょう。剣を抜いて肉を切るとは、何と勇気があるのでしょう。肉をほんの少ししか切らなかったとは、なんと奥ゆかしいでしょう。肉を持ち帰り、細君に与えるとは、なんとやさしいのでしょう」。(武帝はこれを聞くと、朔のふてぶてしさにあきれ、大笑いして、さらに肉と酒を賜った)

《 原文 》

 受賜不待詔、何無礼也。抜剣割肉、壱何壮也。割之不多、又何簾也。帰遣細君、又何仁也

 賜を受け詔を待たざるは、何ぞ無礼なるや。剣を抜きて肉を割くや、壱に何ぞ壮なるや。これを割くに多からざるは、又何ぞれん)なるや。帰りて細君に遣るは、又何ぞ仁なるや

 
《一言多い解説》

 言い訳をするにも、主張するにも、怖気ないで人を食って言った方が有利となる