257【渾沌】 出典・荘子・応帝王 |
《 意味 》
物事の区別のはっきりしないさま。天地がまだ開けず、不分明な状態をいう語であるが、ここでは大いなる天地の中央にいる帝王の名にあてている。「混沌」「崑崙」とも書く。「混沌七竅に死す」というと、人間のこざかしい作為が、大きな自然の営みを死滅させるの意で、人の愚かさを風刺して用いられる
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《 訳文 》
(南海の帝王儵と北海の帝王忽が、中央の皇帝渾沌の支配する地でめぐり合った。渾沌は心からこの二人をもてなした。儵と忽とはそのお礼をしようと相談した)。「人には皆誰にでも身体に七つの穴があってそれで見たり聞いたり、食べたり呼吸しているが、渾沌にはそれが無い。ここはひとつお礼に渾沌の身体に七つの穴を開けてあげよう」。二人は一日に一つ穴を開けていったが、七日目に七つの穴を開けると、渾沌は死んでしまった
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《 原文 》
人皆有七竅、以視聴食息。此独無有。嘗試鑿之。日鑿一竅、七日而渾沌死
人皆七竅有り、以て視、聴き、食らい、息す。これ独り有る無し。嘗試にこれを鑿たん、と。日に一竅を鑿つも、七日にして渾沌死せり
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《一言多い解説》
お笑い芸人の演ずるコントの台本みたい
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