241【虎穴に入らずんば虎子を得ず】 出典・後漢書・班超伝 |
《 意味 》
危険を冒さなければ、大きな収穫をあげることはできないという意味。「虎穴」は、虎のすみか。「虎子」は、虎の子で、「虎児」と書く事もある
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《 訳文 》
(後漢の班超が部下と共に鄯善(楼蘭)に使いとして赴いた。初めは鄯善王は優遇していたが、匈奴(モンゴル)の王が鄯善に圧力をかけてきたので、漢よりも匈奴を恐れて、急に班超たちを冷遇しだした、班超は部下に情勢の変化を伝え、このままでは匈奴の捕虜となってしまうが、どうするかと聞き、部下が、すべて班超の命令通りにするというのを確かめてから、言った。
「虎の穴に入らなければ虎の子は手に入れられない。今、とりうる唯一の策は、夜に乗じて火を放って匈奴を攻める事しかない。敵に我々の小人数なことを知らさないことだ。そうすれば敵はきっと恐れおののくだろう。そうすれば全滅させることができる。匈奴をやっつければ、鄯善も胆をつぶし、我々の仕事は成功し、使者に来た目的も達せられるだろう」。(そしてその計画を実行すると、匈奴は敗れ、鄯善も日和見をやめて漢に服従するようになった)
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《 原文 》
超曰、不入虎穴不得虎子。当今之計、独有因夜以火攻虜、使彼不知我多少。必大震怖。可殄尽也。滅此慮、則鄯善破胆、功成事立矣
超曰く、虎穴に入らずんば虎子を得ず。当今の計、独り夜に因りて火を以て虜を攻め、彼をして我が多少を知らざらしむに有り。必ず大いに震怖せん。殄尽すべし。この慮を滅せば、則ち鄯善胆を破り、功成り事立たん
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《解説》
鄯善は、楼蘭、すなわちロプノールの湖畔にあったオアシス都市。ロプノールは砂漠を移動する湖で有名である、天山南路・北路の分岐点にあるので、漢からも匈奴からも、常に支配下におこうと狙われていた
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