240【虎渓三笑こけいさんしょう)】 出典・廬山ろざん)
《 意味 》

 学問・芸術に熱中するあまり、道のりの遠さをつい忘れてしまうこと。「虎渓」は、廬山にある谷の名。晋の慧遠えおん)法師が客を送ってきた時、虎に吠えられたことから名づけられたという。その慧遠法師が、尋ねてきた陶淵明とうえんめい)陸修静りくしゅうせい)を送っての途中、話に夢中になり、そこより出ないと自戒していた虎渓の谷を知らずに通り過ぎてしまい、三人で大笑いしたとの故事に基ずく。これは画題としても特に好まれ、画も多い。
 
《 訳文 》

 (陶淵明と陸修静の二人を送って、)話しながら道を歩いていると、知らぬ間に虎渓の谷を通り過ぎてしまったのに気づいて、三人で大笑いをした。今、世の中に伝えられている三笑図というのは、この事に基づいている。

《 原文 》

 与語合道、不覚過之。因相与大笑、今世伝三笑図、蓋起於此

 とも)に語りて道に合し、覚えずこれを過ぐ。)りてあい)与に大いに笑う。今世の伝う三笑図。蓋しこれより起これり
《一言多い解説》

 絵に表すとこんな光景