238【黒牛白犢はくとく)を生む】 出典・列子・説符
《 意味 》

 人の世の吉凶禍福は予測しがたいこと。「犢」は、子牛。

 
《 訳文 》

 宋の国に三代にわたって仁義の道をふみ行ってる家があった。その家の黒い牛が突然、白い子牛を産んだので、孔子に尋ねると、孔子は、「これは良いしるしだ、上帝に申し上げなさい」と言った。一年後、その家の父親の目が突然見えなくなった。(その牛がまた白い子牛を産むと、今度は一年後に息子の目が見えなくなろった。そうこうしているうちに宋は楚に攻められ、働き盛りの男の大半が戦死したが、その父子は目が見えないため兵隊に徴集されず、死なずに済んだ。戦争が終わると二人の目は元通り見えるようになった)

《 原文 》

 宋人有好行仁義者、三世不嶰。家無故黒牛生白犢。以問孔子。孔子曰、此吉祥也、以薦上帝。居一年、其父盲

 宋ひと)に好みて仁義を行う者有り、三世おこた)らず。家故無くして黒牛白犢を生めり。以て孔子に問う。孔子曰く、これ吉祥なり、以て上帝にすす)めよ、と。居ること一年、その父故無くして盲す。

《一言多い解説》

 都合のいいようにしか受け取れない