23:【葦巣 いそう)の悔い】 出典:荀子・勧学
《 意味 》

 落ち着く場のない不安。頼る所のない心細さをいう。

 
《 訳文 》

 南方に蒙鳩 みそさざい)という鳥がいる。。羽で巣を作り、髪の毛で結び、これを葦の穂につないでおく。風が吹いて葦が折れてしまうと、卵がこわれてひな鳥は死んでしまう。巣が完全でなかったからではなく、巣をつないだのが頼りない葦であったために、そのようになったのである。
 
《 原文 》

 南方有鳥焉。名曰蒙鳩。以羽為巣、而編之以髪、繋之葦苕。風至苕折、卵破子死。巣非不完也。所繋者然也

 南方に鳥有り。名づけて蒙鳩 もうきゅう)と曰う。羽を以て巣を つく)りて、これを編むに髪を以てし、これを葦苕 いちょう)に繋ぐ。風至り苕折れ、卵破れて子死す。巣 まつた)からざるに あら)ざるなり。 )くる所の者然ればなり
 
◎一言多い解説

 一国の指導者の許で暮らす人民にとって、生活の場所だけでなく悪政のもとでは、やはり不安は消えない、心細さも一入 ひとしお)である。