221【紅一点】 出典・王直方詩話
《 意味 》

 満面鮮やかな緑の中に、ただ一点あか)い花が美しく咲き誇っていることをたたえた句。転じて、男性ばかりの中に女性がただ一人交っていることのたとえ
 
《 訳文 》

 宋の王安石(荊公けいこう))が大臣だったとき、翰林院かんりんいん)の庭に石榴ざくろ)の林があり、緑の枝葉が繁茂する中に、ただ一つだけ紅い花が咲いていた。そこて゜、荊公は、「濃い青葉が茂る枝々の中にたった一つ紅い花が咲いている。人を感動させる春景色は、この紅い花だけで十分だ」という詩を詠んだ

《 原文 》

 荊公為内相、翰苑中有石榴一叢、枝葉茂盛惟発一花。公詩云、穣葉万枝紅一点動人春色不須多

 荊公内相)りしに、翰苑かんえん)中に石榴一叢いっそう)有り、枝葉茂盛もせい)するに、)だ一花を発するのみ。公の詩に云う、穣葉じょうよう)万枝紅一点、人を動かすに春色多きをもち)いず、と

《一言多い解説》

 荊公さんはこの光景を純粋な心で詩に詠んだ。だから、赤い石榴の花も純粋に周りの青葉と対比して、美しいと感動した。女性の出てくる幕ではなかったはず。