215【乾坤一擲】 出典・韓愈詩・過鴻溝 |
《 意味 》
のるかそるか思い切って事にあたる。一か八かの勝負をする。「乾」は、易の八掛の一つで、天を象徴する。「坤」も八掛の一つで、地を象徴する。「一擲」は、ここでは一回骰を投げること。
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《 訳文 》
(天下を争っていた漢の劉邦と楚の項羽は、)竜が疲れ、虎が疲れたように戦いをやめ、この中国を二分しようと約束した。それで億万の人民は命が保たれるはずであった。それなのに今こそ勝負の時だと言って、だれが劉邦に馬を東に向かわせ、項羽と戦わせようとしたのか。劉邦もそれを受け入れ、今こそ、骰を投げるように、天と地を賭けて最後の一戦に向かったのである。
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《 原文 》
竜疲虎困割川原、億万蒼生性命存。誰勧君王回馬首、真成一擲賭乾坤
竜は疲れ虎は困しみて川原を割く、億万の蒼生性命存す。誰か君王に勧めて馬首を回らし、真に一擲を成して乾坤を賭せん。
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《解説》
劉邦(前247~195)、項羽(前232~202)の秦滅亡後の天下分け目の戦いを主題にした詩の一句。詩題の鴻溝は漢と楚の境界線となる川の名。結局この戦いで項羽は滅ぼされた。
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