189【愚者の一得】 出典: 史記・淮陰候れいいんこう)列伝
《 意味 》

 愚かな者でも、たまにはいい考えを出すことがあるということ。同じ内容の語は、春秋時代のせい)の国に仕えた晏嬰あんえい)の言行録である『晏子春秋あんししゅんじゅう)』内篇・雑・下にも見えており、相当古くから言い伝えられていたようである。「愚者も一得」とも言う。

《 訳文 》

 公武君が言った。「わたくしは、『賢いものでも千度考えれば、必ず一度の誤りがあり、愚かな者でも千度考えれば、必ず一度はいい考えがある、だから狂人の言であっても、聖人はこれを選ぶ』というのだと聞いております」

《 原文 》

 公武君曰、臣聞、智者千慮、必有一失。愚者千慮、必有一得。故曰、狂夫之言、聖人択焉

 公武君曰く、臣聞く、智者も千慮に必ず一失有り。愚者も千慮に必ず一得有り。故に曰く、狂夫の言も、聖人これ)えら)

《一言多い解説》

 幼き者の言う事にも耳を傾けよ