185【金科玉条】 出典:揚雄よくゆう)劇秦美新げきしんびしん)
《 意味 》

 厳格に守るべき事柄のたとえ。最も重要な法律や規則。「金」「玉」は、貴重・重要の意。「科」「条」は、法律の条文の意。

《 訳文 》

 (戦国末の秦の流れを継ぎ、漢王朝が成立した。前漢の末、王莽おうもう)が新の王朝を建国したとき、揚雄が、秦の国策を批判し新の国をほめたたえて言った。「新は懸命に努力しなければ、先王に及ばないことをよく理解していた。だから宮中の蔵書をひもとき調べて、伝統的な文章や礼楽を尊重し、)失われてしまった殷代・周代の偉業を受け継ぎ、絶えてしまった尭・舜の遺風を伝え、立派な制度や貴い法律や占いが行われ、昔の貴重な典籍がすべて世に現れて、光り輝き、天下のすみずみまで行き渡っているのである。」

《 原文 》

 胤殷周之失業、紹唐虞之絶風、懿律嘉量、金科玉条、神卦霊兆、古文畢発、煥炳照曜、靡不宣臻

 殷・周の業を失えるを)ぎ、唐・)の絶えたる風を紹ぎ、懿律嘉量いりつかりょう)、金科玉条、神卦霊兆しんかれいちょう)ありて、古文ことごと)く発し、煥炳かんぺい)として照曜しょうよう)し、あまね)いた)らざるは)し。

《 一言多い解説 》

 第二次大戦時の『戦陣訓』の中に在る「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず」等も「金科玉条」として徹底された。危ない言葉でもある。