180【麒麟児】 出典:杜甫・徐卿二子歌じょけいにしノうた)
《 意味 》

 優秀な少年のたとえ。「麒麟」は、想像上の霊獣。聖人が出た時に現れるとされる。「麒」は雄、「麟」は雌。ここから聖人・俊才にたとえる。

《 訳文 》

 君はご存じなかろう。徐卿の二人の息子のたぐいまれな天才ぶりを。それは神仏が授けた夢のお告げどおり、孔子や釈迦が心をこめてこの世に授けられた、兄弟そろって天才少年。兄は九歳、すっきりした顔立ちに、研ぎ澄まされた頭脳と高潔な風格をもつ。弟は五歳、大志を抱き、多くの客たちがその賢明ぶりに驚嘆する。

《 原文 》

 君不見徐卿二子生絶奇。感応吉夢相追随。孔子釈氏親抱送、並是天上麒麟児。大児九歳色清徹。秋水為神玉為骨。小児五歳気食牛、満堂賓客皆回頭

 君見ずや、徐卿の二子は生まれながら絶奇なるを。吉夢きつむ)に感応して相追随す。孔子釈氏みずか)抱送ほうそう)す、並びにこれ天上の麒麟児。大児は九歳、色清徹。秋水を神と為し、玉を骨と為す。小児は五歳、気、牛を食い、満堂の賓客ひんかく)こうべ)を回す。

《 一言多い解説 》

 はたち過ぎれば唯の人