174【杏林】 出典:神仙伝・薫奉 |
《 意味 》
医者の美称。三国時代の呉の仙人薫奉(字を君異という)が、患者を無料で治療する代わりに、重症者に五本、軽症者に一本の杏を植えさせた。数年間で七万株余りにも増え、杏の林ができた。そこでは虫や獣が遊びたわむれ、まるで除草したかのように雑草が生えず、杏の実がたくさん実った。その後、杏の実を入れる籠を納める倉を造り、杏の実が入った籠と穀物が入った籠とを交換して財をなし、貧乏人を救った、という故事に基づく。
|
《 原文 》
治病不取銭物、使人重病愈者杏栽五株軽者一株。如此数年計得七万余株。鬱然成林。而山中百虫群獣、遊戯杏下、竟不生草、有如転治也。於是杏下大熟、君異於杏林下作簟倉
病を治すに銭物を取らず、人をして重き病の愈ゆる者に杏五株、軽き者に一株を栽えしむ。此くの如きこと数年、計えるに七万株を得。鬱然として林を成す。而して山中の百虫群獣、杏下に遊戯し、竟に草生ぜず、転治せるが如く有るなり。是に於て杏子大いに熟し、君異杏林の下に於て簟倉を作る。
|
《 一言多い解説 》
ある意味、これこそ「医は算術」
|
|