168【窮鼠きゅうそ)猫を噛む】 出典:塩鉄論・詔聖
《 意味 》

 行き詰まった弱者が強者に歯向かうたとえ。原典の『塩鉄論』では、「猫」は「)」に作り、野猫の意。「噛む」は「齧む」とも書く。原文の「万乗」は、天子は兵車一万乗を保有するところから天子のことをいう。

《 訳文 》

 (漢の武帝のとき、博士が秘書官に言った。「今の政治は刑罰を重視し過ぎていて、国民は死刑を恐れ、役人どもは殺すことが忠義である考えている。)死んでは二度と生き返ることができないから、追い詰められた鼠が猫に食らいつくように、身分の低い者が万乗の天子を敗ったり、家臣が弓を折った罪を恐れて主君を殺している。陳勝・呉広の反乱はまさにそれだ。

《 原文 》

 死不再生、窮鼠齧。匹夫奔万乗、舎人折弓。陳勝・呉広是也

 死して再生せずんば、窮鼠を齧む。匹夫ひっぷ)万乗はしら)せ、舎人しゃじん)弓を折る。陳勝・呉広はこれなり。

《 一言多い解説 》

 生かさず殺さず