150【起死回生】 出典:抱朴子・外篇・尚博ほうぼくし がいへん しょうはく)
《 意味 》

 絶望的な状態から立ち直るたとえ。死にかかっている病人を生き返らせること。「起死」は死人を生き返らせる意。「回生」も「起死」と同じ意で、「起死回生」は同義複合語。清代の小説『鏡花縁』第六回に起死回生の語がみえる。

《 訳文 》

 (世の人々は昔を重んじ今を軽んじる。今、風のように速く走る名馬がいても、昔の周代の名御者の馬に及ばないという。また、今、)死にかかった病人を生き返らせる良薬があっても、昔の名医、医和いか)扁鵲へんじゃく)が調合した薬に及ばないという。(皆、耳で聞いた昔のことを高く評価し、現実の世を軽視し過ぎているのだ。)

《 原文 》

 雖有起死之薬、猶謂之不及和鵲之所合也

 起死の薬有りと謂えども、猶おこれを和・鵲か・じゃく)の合する所に及ばざるがごとしと謂うなり

《 一言多い解説 》

 長屋の隠居が、住人の八つぁんが腹を下しても、「葛根湯をお飲みよ」。熊さんが風邪をひいても「葛根湯をお飲みよ」。これが一番効くと思っている小咄がある。