140【完璧】 出典:史記・簾頗藺相如相如列伝) |
《 意味 》
完全で欠けたところがないこと。原義は、大切なものを傷をつけず無事に持ち帰る、借りたものを無事に返すという意味。「完璧」は、今では「完全な壁(=宝玉)という読み方をしているが、元来は、「完」は動詞で、「壁を完うす」と読むのが正しい。
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《 訳文 》
(戦国時代、趙の恵文王が楚から和氏の壁という宝玉を手に入れた。西の強大国秦の昭王は、その壁を欲しがり十五の城市と取り換えようと申し込んできた。秦の申し込みが果して信用できるかどうか疑った恵文王は、簾頗始め重臣に相談したところ、繆賢という臣の食客藺相如が、上策があると言ったので、恵文王がどうするのかと尋ねると、)藺相如は言った。「王様のため使者として秦に行く適当な人材はいないでしょう。わたくしに壁を奉じて行かせてください。もし十五の城市が趙のものになったら、壁を秦に置いてきましょう。もし、秦が城市を交換に与えなかったら、わたくしは、壁を無傷のまま持って帰ってきましょう」
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《 原文 》
相如曰、王必無人。臣願奉壁往。
使城入趙而壁留秦。城不入、臣
請完壁帰趙
相如曰く、王必ず人無し。臣願わくは壁を奉じて往かん。使し城、趙に入らば壁は秦に留めん。城入らずんば、臣請う、壁を完うして趙に帰らん、と
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《 一言多い解説 》
この噺にはやはり続きがある。「怒髪天を突く」の中で、使者となった藺相如が秦に赴いたが、昭王の取引話が嘘っぽいことを悟り、怒って脅しを掛けた事で漸く取引に応じたとある。
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