139【完膚かんぷ)無し】 出典:唐書・劉迺りゅうだい)
《 意味 》

 相手を徹底的にやりこめること。無傷の部分が無くなる程に、相手を攻撃すること。また、原文の箇所が無くなる程に文章を訂正する意にも用いる。「完膚」は、完全な状態の皮膚。

 
《 訳文 》

 (朱泚しゅせい)が反乱を起こし、徳宗は都を逃れた。劉迺りゅうだい)は、病と称し、自宅に引きこもって、政権を簒奪さんだつ)した朱泚からの誘いを断っていた)。朱泚は、再び大臣にした蒋鎮しょうちん)を遣わして劉迺を誘ったが、迺は口がきけないふりをして返答もしなかった。蒋鎮は腹いせに迺の全身に灸をすえて、その時は帰った。しばらく経って蒋鎮は迺の気持ちに変化のないことを知り、脅かしても効果のないことを悟った。

《 原文 》

 復遣偽相蒋鎮慰誘。迺佯瘖不答。灸無完。鎮再至、知不可脅膚

 )た偽相蒋鎮を遣わして慰誘す。迺いつわ)いん)して答えず。灸して完膚無し。鎮再び至り、脅すべからざるを知る

《 一言多い解説 》

 全身にお灸をすえて膚を傷めることが語源