136【甘井先ず竭く】 出典:荘子・山木 |
《 意味 》
すぐれた才能や知力を誇る者は、すぐに人に利用されるので、その結果身を滅ぼしやすい、というたとえ。「甘井」は、水質のよい井戸。「甘井」は利用者が多いために早く水が涸れてしまう。
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《 訳文 》
(孔子は陳と蔡の国の間で軍隊に囲まれ、七日間もの間火を使った食事をとることができなかった。大公任は、孔子を見舞って言った)。「まっすぐな木は利用しやすいので、真っ先に伐採され、うまい水の出る井戸は最初に汲み尽くされてしまうものだ。あなたは恐らく自分の知識を飾りたてては愚者を驚かし、自分の行動を正しては他人の汚点を際立たせ、赤々とした太陽や月を掲げていくかのように、自己を誇示していたのだろう。だからこのような災難を免れないのだ。(道家の道を得た人は、目立つようなことはせず名声を得ようとは思わず、純朴で平凡であり、飾ることを知らない。だから、災難にあうこともないのである)
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《 原文 》
直木先伐、甘井先竭。子其意者、飾知以驚愚、修身以明汙、昭昭乎如掲日月而行。故不免也
直木は先ず伐られ、甘井は先ず竭く。子はそれ意うに、知を飾りて以て愚を驚かし、身を修めて以て汙を明らかにし、昭昭乎として日月を掲げて行くが如し。故に免れざるなり。
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《 一言多い解説 》
大公(その土地の長)の任という人が、孔子の日頃の説法が鼻持ちならなかったと見えて、「だからこんな目に遭うのだ」と諫めているらしい。色々調べても、この噺は出てこなかった。
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