131【侃侃諤諤かんかんがくがく)】 出典:論語・郷党 / 史記・商君列伝
《 意味 》

 極めて強直で、権威に対しても遠慮なく正論を述べる様子をいう。是非・善悪を直言するさま。また、原義からは外れるが、大勢でやかましく議論をしたり、議論が沸騰することの形容にも用いられる。「侃々」は『論語』の「「侃々如」に出典をもち、なごやか、ものやわらかの意。「諤々」は『史記』にあり、遠慮せずに言うこと。直言の意。
 
① 論語

《 訳文 》

 (孔子が)朝廷で下位の大夫と話されているときは、穏やかに、上位の大夫と話されるときは、筋道立ててしっかりとした口調でであった。

《 原文 》

 朝与下大夫言、侃々如也。与上大夫言、誾誾如也

 ちょう)にして、下大夫と言えば、侃々じょ)たり。上大夫と言えば、誾誾ぎんぎん)如たり。

② 史記

《 訳文 》

 (春秋末期の晋の大夫趙簡子ちょうかんし)の言葉を引用して趙良が秦の宰相商君に言った言葉)「羊の皮は千枚あっても一匹の狐のわきの下の白い毛の価値もない。それと同様に、千人いてもはいはいとただ意見を聞き入れるだけなら、一人の士が強直に意見を述べるのには到底及ばない。周の武王は直言を聞き入れたから栄え、殷の紂王ちゅうおう)は家臣を黙らせたから滅亡したのです。

《 原文 》

 千羊之皮、不如一狐之掖。千人之諾諾、不如一士之諤諤。武王諤諤以昌、殷紂墨墨以亡

 千羊の皮は一狐のえき)しか)ず。千人の諾諾は、一士の諤諤に如ず。武王は諤諤たるゆえ)さか)え、殷の紂は墨墨もくもく)たる以に亡ぶ

《 一言多い解説 》

 比喩の巧い人は重宝される