130【鰥寡かんか)孤独】 出典:孟子・梁恵応
《 意味 》

  係累の無い独り者の意。「鰥」は男やもめ、「寡」はやもめ・寡婦、「孤」はみなし子、「独」は子供のいない老人。それぞれ、身寄りのない者をいう。

 
《 訳文 》

 (斉の宣王が孟子に政治の在り方を尋ねた時、孟子は周の文王の例を引いて答えた)。「年老いて妻のいない者を鰥といい、夫のいない者を寡といい、年老いて子供のいない者を独といい、幼くして父のいない者を孤という。この四者は世の中で最も困窮している人であり、自分の苦しみを訴えるところのない人たちである。(だから文王は、この四者の事を真っ先に考えて政治を行ったのである)

《 原文 》

 老而無細曰鰥、老而無夫曰寡、老而無子曰独、幼而無父曰孤。此四者、天下之窮民 而無告者

 老いて妻無きを鰥と曰い、老いて夫無きを寡と曰い、老いて子無きを独と曰い、幼にして父なきを孤と曰う。この四者は、天下の窮民にして告ぐる無き者なり。

《 一言多い解説 》

 この思想で福祉の理念が生まれた。後に健常者に対する障碍者も対象となる