124【雁の使い】 出典:漢書・蘓武そぶ)
《 意味 》

  手紙のこと。便り

 
《 訳文 》

 (漢の蘓武は、匈奴に使節として出かけたが、部下が関連した事件に巻き込まれ、捕らわれの身となった。度重なる降伏への誘いにも応じぬ蘓武を、匈奴は北海の周りに移し牛飼いをさせた。辛苦を極めながらも忍んでいるうちに漢と匈奴が和睦した。漢は蘓武一行の帰還を求めたが、匈奴は蘓武は死んだと偽って応じなかった。のち、漢の使者が匈奴を訪れた時、蘓武の部下であった常恵じょうけい)はひそかに漢の使者と会い)使者が、匈奴の王単于ぜんう)に次のように言うように仕向けた。「漢の帝(昭帝)が上林苑で雁を射落としたところ、足にきぬ)に書いた手紙が縛り付けてあり、『蘓武たちはある沼沢の中にいる』と書いてあった」と。(使者はそのとおりに単于に告げ、やがて蘓武たちは漢に帰ることができた)


《 原文 》

 教使者謂単于、言天子射上林中、得雁、足有係帛書、言武等在某沢中

 使者をして単于に謂わしむるに、天子上林中に射、雁を得、足に帛書はくしょ))くる有り、言わく、武ら某沢中に在りと言う、と

《類句 》

 雁書がんしょ) 雁信