117【確乎として抜くべからず】 出典:易経・乾卦けんか)文言ぶんげん)
《 意味 》

 しっかりしていて動かすことができないようすをいう。「確乎」は、しっかりしていて堅いこと。どんな事態になっていても動揺せず、信念を守り抜くこと。引用の原文は、乾卦の解説である文言伝に見られる。文言伝は孔子の作とされている。

 
《 訳文 》

 (初九《乾の卦のいちばん下の陽のこう)》の爻辞に、潜竜なり用うるなかれ、とあるのはどういう意味かと孔子は言う。)「竜のような立派な徳がありながら、隠れて表面に現れない人のことだ。世間に迎合せず、名を成そうともせず、用いられずとも不満を抱かず、正しいと評価されなくても不平を言わない。平和で楽しければ行動し、乱世であればこれを避ける。このようにしっかりとして、その志を変えないもの、それが潜竜だ。

《 原文 》

 竜徳而隠者也。不易乎世、不成乎名、遯世無悶。不見是而無悶。落則行之。憂則違之。確乎其不可抜、潜竜也

 竜の徳ありて隠るる者なり。世に)えず、名を成さず、世をのが)れていきどお)る無く、是とせられずして悶る無し。楽しむときは則ちれを行い、憂うるときは則ちこれを)る。確乎としてそれ抜くべからざるは、潜竜なり。

《一言多い解説 》

 いつの世でも、拘ることが一番身体にも心にも生き方にも善くないことだ