110【華しょ)の国に遊ぶ】 出典:烈子・黄帝
《 意味 》

 よい気持ちで昼寝をすること。そこで見る夢をもいう。「華胥の国」は平和で安楽な国、理想郷。昼寝をして華胥の国に遊ぶ夢を見たことからいう。

 
《 訳文 》

 (中国古代の聖王黄帝は)昼寝をしていて華胥氏の国に遊ぶ夢を見た。その国は弇州えんしゅう)の西、台州の北にあり、中国からはどれほど遠いかわからなかった。船や車、徒歩などで行けるはずもなかく、精神こころ)だけが遊びに行ったのである。その国は身分の差もなく自然そのものであった。人々はむき出しの欲もなく自然そのままであった。

《 原文 》

 昼寝而夢、遊於華胥氏之国。華胥氏之国、在弇州之西、台州之北。不知斯斉国幾千万里。蓋非船車足力之所及、神遊而已。某国無師長、自然而已。某民無嗜欲、自然而已

 昼)ねて夢み、華胥氏の国に遊ぶ。華胥氏の国は弇州の西、台州の北に在り。斉国をはな)るること幾千万里なるかを知らず。けだ)し船車足力の及ぶ所にあら)ず、神游しんゆう)するのみ。その国師長すいちょう)無く、自然なるのみ。その民嗜欲しよく)無く、自然なるのみ。

《一言多い解説 》

 一国の統治者が、身分の差がない国で心置きなく過ごす夢を見る物だろうか、解らん。