7:【遏雲 あつうん ) の曲】  列子・湯問
《 意味 》

 素晴らしい音楽・歌声のこと。「遏」は、止める。流れている雲を止めるほど素晴らしい音楽という意味
 
《 原文 》

 餞於郊衢、撫節悲歌、声振林木、響遏行雲

 郊衢 こうく ) せん) し、節を ) ちて悲歌すれば、声林木に振るい響きは雲を とど)

《 解説 》

  (秦の薛譚 せったん ) は秦青について歌を習ったが、少し教わっただけですっかり上手になったと思い、故郷に帰ることにした。秦青は彼を引き止めず、)郊外の道の辻まで彼を送り、そこで餞別に手拍子をとって悲しそうに歌を歌った。その声は林の木々を震わせ、その響きは空を流れる雲を止めた。(薛譚は自分の未熟を悟って秦青に詫び、再び秦青のもとに戻り、二度と帰るとは言わなかった)

 
◎一言多い解説

 自惚れへの戒めである。と同時に、何も言わずに引き止めなかった師の振る舞いこそ、それを弟子に気づかせ改めさせる厚情であった。気づけなかった弟子は、大成することができなかった器である