第一幕から聴く

 ババンバンバン

 メリケン国・盗卵賦大統領来日第三幕の一席でございます

 おもてなしされる方にとって「これって何なの?」と感じる事が有ります。いわゆる披露する側の思い込みや押しつけがそれ。かつては中曽根元総理が、令愚庵大統領接待では茶道に則ったお茶の振る舞いも、日本的一期一会の厳粛な作法をどう伝えるか、大いに悩んだことと推測されます

 事前に説明すると言っても、本人が全く予備知識が無ければ、飲んだお茶が旨かったのか不味かったのか、或いはゆったりとした相手の動作がのろいと感じたかどうか、でしか評価されないのではないか

 「苦いだけジャン」

 これで終わったのでは何にもなりません。かと言って、それを案じて砂糖を入れて差し出したんでは、茶道の趣意から離れてしまう。パフォーマンスで終わるのが落ちであります

 ババンバンバン 難しい噺は飛んでけ〜。

 一夜明けて盗卵賦大統領と目乱猫夫人が皇居で天皇陛下・皇后陛下に謁見しました。此れですよ、日本に来て、昨日の安倍麻呂の追従にさんざ付きあってきた翌日の、緊張する儀式の日の朝の事 (バン)

 閣下、本日はあくまで目上の方にお逢いするという設定でお願いします

 そうよ、いつものように手を振り回したり人差し指で相手を指したりしないでよ

 判ってるよ、話を聞く時も話す時も揉み手で少し屈み気味で居ればいいんだろ?

 はい閣下。

 天皇陛下はNARUHITOで良かったんだよな。

 はい閣下。でも彼の方から“Please call me Naruhito”って言ってからにしてください

 えっ、英語、喋れんのか?

 あんた、何言ってんの、NaruhitoはUniversity of Cambridgeに留学してるのよ。
  米語じゃなくて正真正銘のKing's Englishで言って来るんだからね

 目乱猫夫人も、her majesty the Empressとのお話合いは、通訳なしで参ります
    こちらはHarvard University出ておりますから

 きゃー、参ったさんのお二人さんだわ

 閣下、そういう言い方は、此処だけにしてください!

 かくして、:絢爛かつ厳かに、皇居での朝見の儀と宮中晩さん会は執り行われました。盗卵賦大統領にとってもいくらか肩の凝る邂逅(かいこう)も新鮮な体験と成って、今後の政治姿勢に反映していければ世の為他国の為に成るんだがなあ

   ババンバンバン

 さようなら、また逢う日まで。盗卵賦大統領ニツポン滞在記はこれにて全編の幕を下ろす事と成ります。