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平成二十年度 berander亭 『おせち料理』

宮廷の生誕菜

第二話

 先ずは、元旦berander 家の『食卓の情景』です。中央白い大皿は、境界に仕切られて、料理されたものが場所を争う事も無く、仲良く鎮座出来るので、おだやかな収まりになっています。

 『栗きんとん』・『伊達巻』・『身欠きにしんの煮付け』・『からしれんこん』・『豚バラ肉の煮しめ

 この大皿の中に紅白の蒲鉾もあって、これだけが市販品です。残りが自分が自作したものです。残念ながらもうひとつの大皿に揃えられた色々な魚の刺身は、北の漁場に行ってきたり大間の一本釣で仕留めたもの等では勿論ありません。

 自作したものは更にあって、刺身盛りの皿の下にある煮物が、『鶏手場先と大根煮付け』です。汁にたっぷり骨からでてきたコラーゲンのまったりとした味が堪らない様子です。

 それと、『五色なます』、『ごまめ』で以上八品です。ふう〜

 では、次に反省すべき事を書いてみます。鶏手羽先は煮詰めすぎて身がいくらか崩れています。
伊達巻は正規の広口玉子焼き器が無いので、代用にステンレストレーの安いのを買ってそれを使ったら、熱のムラがあって、ナマとコゲめの出方が宜しくなかった。やはり、こういう繊細な火加減を駆使する料理には、それなりの道具が無いといけないの例である。あの銅(あか)で出来た高級な玉子焼き器は浅草かっぱ橋で私を待っているのかしらん。

 この伊達巻には、刺身用鯛の切り身150グラム、900円ほどのコストが卵6個に含まれているのだ。砂糖の量を若干抑えてあり、かつ、しっかりと歯応え有る物にできたのが救いではありました。

 豚バラ肉の煮しめは脂が抜けると、かなりチンマリしてしまう。量を多く持っておかないと、食べるのに争いになることを恐れなければならない。

 手が掛かったのが、身欠きにしんの煮付け。盛り付け写真のきんとんの右にある。上乾といってかなりカチカチになった身を、先ず米のとぎ汁に二日二晩、(二日間お米を研いだ時のとぎ汁を半分づつ半日ごとに取り替えて)漬けて置く。取り出したにしんは、着いてるうろこを剥いでから半身二本を抱き合わせて晒(さらし布=料理用の無蛍光のもの)にクルクル巻いて、一緒に晩茶を出汁パツクに詰めて鍋に水を引いた中にいれてから、最初の1時間ほどとろ火で煮て番茶のパックだけ取り出したあと、酒を五勺足して甘みを身に回し、更にタカの爪を千切って散らし(適当な頃合に取り出す)、煮出し汁(醤油砂糖)はてれん、てれんと時間を掛けて少しづつ足して行く。

 我が家に保温プレートなるすぐれもの調理器具がある。リサイクルショップで300円くらいで調達したものだが、煮物に「柔らかくなりなさい」と下命してこのプレートの上に鍋を幾時間か載せておくと、とてもいい塩梅になります。身欠きにしんの煮物は、夜間を除いて二日二晩とろ火に掛ける時と保温プレートに掛けている時を交互に替えて、その間、水の継ぎ足し(火にかけている時)と、煮出し汁を時々足しながら、味を作って行きます。キャー製作日数延べ四日間の料理って、初めての体験だ。

 勿論世の中にはもっと時間を掛けて作っていくものがあると訊く。『熊の手』は、一週間前の予約猶予が必要と聞くが、まさか、注文を受けてから、その筋に材料を依頼したら、そこから、狩猟者が狩猟申請許可を出して、下りて、山に入って、探索して、射止めて、解体して、運んで「遅かったじゃないか」などといいながら受け取って茹でて、毛を毟って・・・いやはや、自分もそれに似たような事をプチ体験したわけです。熊の手は、蜂の巣を襲って蜜を掻きだしていたほうが旨いんだって、身欠きにしんはじゃあ、右半身なの左半身なの旨いほうは、だなんて判らん。

 
『からしれんこん』

 手を掛けた料理は「うまい」−−この言葉に真理ありとは自分の持つ信念となっています。だから、今年のおせち料理は、この信念が牽引力となって一年前をはるかに超えた作品数仕上げる事が出来た。全ての自作おせち料理は、二日に細君の実家に持って行って、一族に振舞われてもいます。最後にやはり絶品の味とお褒めを頂いたものを画像のみの披露で紹介しておきます。

 からしは、きちんと和からしの粉末を使うべきです。おからをフライパンで炒って水分をとばして、さらさらにしたものが要ります。参考とした料理本は、第一話に紹介してあります。その際のお品書きと出来上がった作品は、若干の相違があります。

 後日訂正のお断り:
 参考とした料理本をきちんと掲載しておきます。

 ☆『つきぢ田村の日本料理 厳選300レシピ事典』
 ☆『サライ』2006年11月2日号の特集記事『壇一雄流クッキング』

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