310【入木道じゅぼくどう)】 出典・書断・王義之おうぎし)
《 意味 》

 書道のこと。筆跡がすぐれ、筆勢の強いことのたとえにもいう。晋の王義之が祝祭のための木の額に書をかいたところ、墨痕ぼっこん)が木に三分染み込んだという故事から、書道のことをいう。「「入木」「入木三分」ともいう

 
《 訳文 》

 (王義之は、幼いころから書に秀でていた)。晋の皇帝が都の郊外で地神をまつったとき、(義之が)祝いのために掲げる木の額の詩を書き改めた。その後、工人(大工)がその板を削ったところ、墨のあとが三分余りも板に染み込んでいた)

 
《 原文 》

 晋帝時、祭北郊、更祝版。工人削之、筆入木三分

 晋帝の時、北郊を祭り、祝版をあらた)む。工人これを削るに、筆、木に入ること三分なり

《一言多い解説》

 長年雨風に晒されて、墨が板の中に染み込んだだけの噺であろう